こんばんは自称バームクーヘンです。
2019年12月22日、日本一の漫才師を決めるM-1グランプリが開催されました。
審査員の方々は前年と変わりませんでした。
ナイツ塙さんは今年、『言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか』という本を出し、各所で話題になりました。僕も読みましたが、かなり面白かったです。
そして今年はゴッドタンやアメトーークでも、お笑い論を語るコーナーが幾つかありましたね。
さて、M-1は夏から予選が行われます。
そして、準決勝組で決勝に上がれなかったコンビは冬の極寒の中、野外で漫才をしなければなりません。それが、敗者復活戦。
今回の敗者復活戦は例年よりも知名度が高いコンビが多くいました。
敗退コンビは16組。
和牛、ミキ、カミナリなど決勝進出経験コンビも容赦なく落とされました。
それだけに、決勝進出コンビはあまり知名度がない芸人が目立ちました。
中でも、"すゑひろがりず"は小道具を使うコンビです。
手紙を除く、小道具を使用するコンビが決勝進出するのは2002年のテツandトモ以来でしょう。
ー敗者復活戦ー
さて、敗者復活戦から勝ち上がれるのは勿論、1組。
しかも視聴者投票によって決まります。
今年は参考として、採点もできるシステムになっていました。
めちゃめちゃおこがましいですが、点数をメモした結果、ぼくは以下のようになりました。
好きなコンビも出てましたが点数は公平に入れてます。
「素人が点数つけるなや」て思った人、すみません。個人の感想というか、感じたままの点数です。
では、
はい。
・投票できるのは3組でしたので点数順に、和牛、四千頭身、トムブラウンに投票しました。
結果的に敗者復活戦を勝ち上がった和牛のネタはこれまでのM-1で見た和牛のネタの中で僕は1番好きでした。
有名コンビの中でもアマチュアのラランドや結成まもない、くらげがいたことは予選の審査が公平だと象徴しているようでした。2組とも面白かったですしね。
そして準々決勝で有名なコンビもかなり落ちてます。
ー決勝ー
決勝進出者は以下になります。
以下出番順
・ニューヨーク
・敗者復活(和牛)
・からし蓮根
・見取り図
・ミルクボーイ
・オズワルド
・インディアンス
・ぺこぱ
ここからは僕が感じた感想を書きたいと思います。
あくまで個人の主観です。。
・1組目 ニューヨーク 「ラブソング」
毒が強めの漫才が基盤のニューヨーク。
「売れる売れる」と数年前から言われ続け今年、初めて決勝進出を果たしました。
毒が強めのネタは悪意にまみれていますが、今回のネタは毒は少なめでした。
題材は「ラブソング」。
JPOPを作るけれど実はJPOPをめちゃめちゃにイジるという構造。ダサい歌に対して、ツッコミは「そういうの好きなやつって〇〇やねん」とツッコミながらも、偏見ボケを被せる構造。
歌ネタということもあり、ダサいと言いながらも逆にメロディが耳に残りやすく、毒がポップに仕上がりすぎたことが裏目に出たのかもしれません。
ニューヨークのネタは面白いですし、2人のキャラも良く、スター性はかなりあると思います。
審査員のナイツ塙さんも話していましたが、このネタは他番組でもよくしており、「見たことある」ネタでした。しかしながら、過去から比べると断然にブラッシュアップされ、例えば後半にツッコミの濱家がステージを大きく使い、観客に問う流れは初期にはありませんでした。舞台を大きく使うことで、小さな言い間違いから始まるこのネタの厚みがかなり増すと思いますし、観客は笑うだけではなく、2人の会話に参加するフォーマットになるわけですよ。
更に更に、かまいたちが凄いのは(このネタ以外でもそうですが)ネタの本筋から離れたやりとりも展開するところです。
後半に山内が誰もいないのに話を続けたり、そういう、本筋とは違う展開を見せることで2人のキャラが立ちますし、様々な笑いのツボを抑えることに繋がると思います。
「見たことある」ネタ、以上に「見たことあるけれど、何回でも見れる」ネタだと思いました。
・3組目 敗者復活(和牛) 「内見」
僕はM-1の決勝でやった和牛のネタの中で、今回のネタが一番好きでした。
過去のネタを否定するわけではないですが、これまでの和牛のネタは4分に収まりきってない、むしろ、7分くらいが丁度良いネタだったと思います。
和牛が得意とする、伏線回収ネタをするのに4分は少なすぎます。
その点、今回のネタは絶妙に4分に収まるネタで、しっかりと笑いの沸点と、川西の「いいね!」というキラーワードをぶち込んでいたと思います。
そして、ネタ中に2人が後ろに歩いて「おじゃましました」と言うのが区切りになっていて、「チャプター1は終了したよ、ここからチャプター2よ」とこちらが分かり、テンポが物凄い良く思いました。
リズミカルにどんどん展開されていって、最後にドカンとボケを畳み掛けるようなネタでしたね。
僕は好きやったなあ。とても面白かったです。
・4組目 すゑひろがりず 「コンパ」
かまいたち、和牛と、関西の漫才でしかも両コンビ共に爆笑を生んだ後に、えみくじで「すゑひろがりず」と出た時はだいぶと焦りました。
だって、すゑひろがりずが好きだから!
2組爆笑取れば、3組目は爆笑は取りにくいのです。
今回のM-1の色物・キワモノとされていたすゑひろがりず、伝統芸能を基本とした漫才ですが、しっかりと笑いを取り、高得点でした。
結果的には8位ですが、かなりかなり良かったと思います。
ちなみにですが、控え室でかまいたち、和牛が終わったあと、オズワルドが「次は嫌だ」と言ったとき、すゑひろがりずは自分たちが正統派とは言えない漫才スタイルであることを踏まえ、「俺たちに行かしてくれ!」と言ったそうです。
いや、どんだけかっこいいねん。
あと、登場の出囃子のときに太鼓の音を乗せるのが最高でしたね。
結論、すゑひろがりずは最高。
・5組目 からし蓮根 「教習所」
超若手で決勝進出コンビでは唯一の20代コンビ。
過去3年間ほどは準決勝敗退が続き、今年初めて決勝に上がりました。
漫才後、松ちゃんは「本調子ではないように思う」と言い、片や、オール巨人は「彼らは本調子なんですよ」と言いました。
審査員2人の違いはなんだったのか、僕が思うに現段階での彼らのキャパシティの中ではたしかに本調子だったのかもしれません。
しかしながら、松ちゃんが「本調子ではないと思う」と言った真意は、僕が思うに、このコンビはもっともっと伸び代があって、本来はもっともっと素晴らしい漫才ができると見込んだんだと思います。
たしかに、からし蓮根はボケがわりとカオスで初めて見た人の中にはボケと分からず本当に驚く人もいるかもしれません。(今回のネタでいうと急に舞台裏に行ったボケなど)
なのでお客さんも、からし蓮根はこういうコンビだと認識しないと爆発はしないのかもしれません。現段階では。
千鳥も最初は東京で理解されませんでしたが、やってることは同じなのに今では大阪よりも東京の人の方が好きなくらい人気です。
そういった意味でコンビのテリトリーに引き込めなかったイコール本調子ではなかった。
もっと化けるコンビやと思います。
ちなみに僕は事前予想で優勝と思ってました。。
また来年に期待します。
・6組目 見取り図 「最初の印象って大事」
松ちゃんが「ズボンが靴に入り込んでるのが気になる」、ナイツ塙が「手の動きが気になる」と評しました。
順位では5位でしたが、はっきり言うと審査員はネタどうこうよりも、根本的にネタを見せる動作に目がいってしまってたのです。
僕がネタ中に感じたのはやたらとマイクを見るのが気になりました。
去年のギャロップがたしか指摘されてましたが、相方もお客さんも見ずにマイクを見て喋ってるんですよね。
なので見取り図はネタどうこうよりも、そういったネタの見せ方が減点対象になったのかもしれません。
ネタでいうと、大喜利の羅列のように感じそれ以上の展開にならない点と、EXILEやバチェラー、TOKIO長瀬、等々、やたらと有名人やコンテンツの固有名詞を使うボケが多く、ちょっとしつこく感じました。
例えばEXILEのことを言ってるけれど、EXILEとは言わない、こちらにそれはEXILEだと認識させる方が展開があるのかもしれません。初めから答えを出してただ見せられてるだけのようで、悪い意味で何も考えずに見れるネタであり、観客を交えた構成にはなってないなと僕は思いました。
・7組目 ミルクボーイ 「コーンフレーク」
題材、コーンフレーク。ステージを大きく使う展開はないしゃべくり漫才です。漫才を細分化さると、ミルクボーイは本格派漫才だと思います。
ネタは母さんが朝ごはん思い出せないから入り、それはコーンフレーク、いや、コーンフレークじゃない、の繰り返しでかなりシンプルですが、凄く洗練され会場は大爆笑でした。
テクニックもそうですが、2人のバランスも良いし、話すテンポがものすごく気持ちが良い。ああじゃないこうじゃないっていうのが全然しつこくないんですよ。
更にお客さんがネタの構造をすぐに理解できるので聞きやすくなりますし、次はどんなコーンフレークあるある、もしくは、コーンフレークじゃない理由が出てくるのか構えるんですよ。そうなるとミルクボーイのテリトリーに入り、あとは笑ってしまうのみ。
もう少しミルクボーイについて他のコンビとは違う凄さを書きたいですが、2本目のネタでも言えることですのでまた次回の記事に書きます。
とにかく、圧巻でした。
M-1史上、最高得点は凄いですねえ。
・8組目 オズワルド 「先輩に気に入られたい」
独特の雰囲気で2人にしかできないトーンのしゃべくり東京漫才。
音楽でシティ・ポップというジャンルがあります。
どうもオズワルドの雰囲気は僕は見ていてシティっぽさがあるんですよね。おぎやはぎもそんな感じがします。
一定のテンポで抑揚はあえて付けずに、トントントンと話が進み、だけども笑いをしっかりと取っていく。
オズワルドのトーンは最高ですね。
後半にかけて、ツッコミが強い箇所があるんですよ。
トントントンと一定のリズムで進んで合間にスパーンと、気持ちの良いツッコミがあるので聴きやすい。一定のビートを保ちながら急に違う音が入る気持ちよさ。
オズワルドが聴きやすいのはきっとそういう音楽的リズムの取り方があると思うんですよ。
ワードセンスも良いですしテンポと台詞がマッチしている。
んん、オズワルドには音楽的な要素を感じましたですねえ。面白かったです。
・9組目 インディアンス 「彼女が欲しい」
オズワルドとは対極です。頭から止まらず進行していく漫才。しかしながらどうやら決勝ではその止まらない進行が崩れる瞬間がありました。
それも最初の方でしたので2人ともテンポが崩れていき、本来のインディアンスの感じではなかったです。焦ってるのがけっこー伝わりましたからねえ。
それとインディアンスは後半よりも前半に出る方が勢いがついてよかったと思います。
おもっきり逃げ馬やと思うんでね。前半にガツンと高得点叩き出して欲しかったです。出番順は仕方のないことですが、コンビ独自の有利な方向に持っていくにはインディアンスは前半やと思うんよなあ。
・10組目 ぺこぱ 「タクシー運転手」
最近はツッコミ主流の漫才が強いです。昨年王者の霜降り明星もそうですが、ツッコミで笑いを取るのが台頭してるんですよね。千鳥ノブもそうです。
そこで、ぺこぱは時代に逆行するのではなく、もう一個ツッコミボケに付け加えたのが凄い。
発明やと思います。
ツッコミボケ自体をツッコむんですよ、ツッコミボケした後で自分で「〇〇じゃねえか!ってそういう〇〇ってなに?」のように、自分で分解する。
かなり面白いと思います。
新たな視点を導入したので会場も沸きましたし、かなり面白かったです。誰も傷つけませんし。
変に熱いポジティブじゃないのもまた良し。
ファンはかなり増えたのではないでしょうか。
以上、決勝1stラウンド総評でした。
様々なスタイルの漫才を見れてかなり笑いましたね。M-1史上、最高の大会やったと思います。
ではでは、決勝3組ファイナルラウンドは次回のブログに書きます。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
それではまた次回。
自称バームクーヘン