ぼんくら解体新書

俺は絶対サブカル男子ではないっ!

ドラマ『モテキ』と小宮山夏樹の話

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※この記事の内容はネタバレを含みます。

 

こんにちは自称バームクーヘンです。

僕はドラマ『モテキ』が好きなので今回はそれの感想を書こうかなと思います。

久保ミツロウ先生の漫画が原作で、ドラマの延長に映画もありますけど基本的にドラマ『モテキ』の感想を書きます。

まずはサラッと概要。

先ほども書きましたが漫画が原作で、テレビ東京で2010年7月〜10月頃までに放送したドラマです。ストーリーは30歳手前のセカンド童貞男に''モテキ''が訪れるが、なんせ女性に慣れていない主人公なので葛藤してそれがまた物語を終わらしてしまったり、問題を発展させてしまう。みたいな話です。

 

登場人物

・主人公の藤本幸世

(呼び名 幸世、幸世くん、童貞)

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30歳手前でセカンド童貞だということがコンプレックス。音楽、漫画、お笑い鑑賞が趣味。

 ・土井亜紀(土井さん)

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幸世とは会社で出会う。音楽の趣味から繋がり、幸世にとってのモテキ最初の人物。

・中柴いつか(いつかちゃん)

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幸世とは何かと趣味、性格と共通性が多い。

飲み会で知り合ったとき喧嘩をしたが、そこから仲良くなる。

・小宮山夏樹(なつきちゃん)

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幸世が人生で1番好きになった人物。幸世のこじらせの元凶といえば元凶。趣味、性格ともにあまり合わないが掴めないような人物像に幸世は惹きつけられる

・林田尚子(林田、リンダ)

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幸世の同級生。幸世と恋の関係にとはならない。自信を失った幸世にとっての姉御的存在。

・島田雄一(島田)

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 幸世の中高の同級生。趣味が全く合わないが幸世の親友。頼れる存在。

 

まず押さえときたいことはモテキを描く際に、久保ミツロウ先生が自分がこれまでモテてこなかったことを物語にしたいけど、女性が主人公やと購買されない。だったら男でってことで描いた物語が漫画『モテキ』だってことです。

幸世は草食系男子でクラスでいうとなんでもない普通のぼんくらみたいな感じの男です。幸世はね思春期にこじらせて、いわゆる反抗期を経験していないんですよね。

反抗期というと

「父のようになってはダメ」⇔「父のようにならないと」

その2つの間でもがいて自分を、そして父を超えていく通過儀礼ですけど幸世はどうやらそれを経験していない。

いつまで経っても支配されてる側で、まあそれもこじらせていなかったら「社会はそういうもの」で流せますけど、幸世は無理なんですね。

やから自分でコントロールしたい、支配される側じゃ嫌やと。幸世は大前提としてそのような人物像だと思います。そこに訪れたのがモテ期でした。

 

モテキ』は音楽要素がとても強く、ドラマのサブタイトルは毎話、曲名だったりします。

それ以外にも出てくるワードがいちいちサブカルとカテゴライズされるものになってる。 やから余計にこのドラマに感情移入しちゃう(あまりそういう見方はしたくないけど!)

 

〜フェスについて〜

1話では土井さんとフェスに行くんですよ。んで幸世もフェスに行き慣れてる感じなんですが、ちょっと待ったー!!
フェスて、女子に誘われてもまあ迷うけど、第1、現実の幸世みたいな男はプライベートで1人で大きいフェスに行くわけがない!

そんな根性ないですよ。
これはロマンポルシェロマン優光さんも言ってたことなんですが、いわゆる杉作J太郎さんや吉田豪さんがプライベートで1人で大きなロックフェスに行くって想像できないですよね。そういうことやと思います。あれは違和感でした。

 

さてさて、モテキの登場人物は各々キャラクターが濃くて魅力ありますね。まず幸世と土井さんが良い感じになった後、いつかちゃんとも関係ができあがっていくんですけど、この2人は幸世を取り合う三角関係になっていきます。

2人は対象的でしてね、見た目も雰囲気も性格も違います。2話かな、土井さんが風呂上がりにR1飲むんですけど、いつかちゃんは温泉入ったあとでヤクルト飲むんですよ。こういう描写的に細かな違いもあります。

あ、そいや『モテキ』の土井亜紀の衣装はほとんど野波麻帆さんの私物らしいです。

 

2話「深夜高速〜上に乗るか下に寝るか〜」はほんと良いですね。

いつかちゃんと幸世が出会ったときの喧嘩

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「お前みたいな童貞野郎、結局いかにもやらせてくれそうなイメージの女ん所にしかいけねえんだろ!電車男とかな、みうらじゅんの童貞ビジネスとかに騙されて自己肯定してんじゃねえよ!!」

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 「てめえこそハチクロとか浅野いにおとかの漫画読んで現実逃避してる口だろがよ!銀杏BOYZの峯田のブログにコメントしてんじゃねえよ、峯田はぜってーてめえのコメントなんか読んでねえかんな!」

 

このやりとりがね、いつかちゃんや幸世と趣味が合う人はかなり刺さる台詞ですね、。

そこから岩井俊二監督の『打ち上げ花火〜下から見るか横から見るか』のロケ地を巡るデートをする。満島ひかりのリブートした演技めっちゃよかったです。はい。んで、2人はその日は宿に泊まるわけですが、なんせ2人とも異性との距離感ヘタ芸人なもんで変な感じになっちゃう。異性の友達ってわかってるのに異性を過剰に意識してしまう。

んで、急遽2人で帰ることに。

しかも知り合ったときは互いに童貞と処女やったのに、いつかちゃんはドブに処女捨てたと。幸世も実は卒業してたってことがわかります。

いつかちゃんとはここで一旦離れてしまいます。

 

ー小宮山夏樹という人物ー

その後幸世は人生で1番恋した女性、小宮山夏樹と再び出会うわけです。

この、小宮山夏樹がねなんというか凄く面白いキャラクターなんです。

土井さんもいつかちゃんもわかりやすいキャラで物語とは関係ない部分のことも想像はできます。しかも、幸世との三角関係という構図もわかりやすい。

ただ、この小宮山夏樹は土井さんもいつかちゃんもあまり把握してなくて、キャラクター像もなかなか掴めない。

 なんというか人物として何面も個性がある感じなんですよ。

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漫画ではこんなセリフがあります。ようは小宮山夏樹はカテゴライズできないキャラクターなんですよ。

「こういうヤツ」みたいなレッテル貼りを拒否するんです。

「小宮山夏樹はビッチ」て聞くと、いや、夏樹ちゃんはそういうことじゃない!てなる。

夏樹ちゃんは凄く魅力ある人やと思います。

まずね、最後の最後に夏樹ちゃんは「親がいない」「高校行ってない」てぽろっと会話の中で自然と言います。いつから親がいないのかは明かされませんけども、おそらく夏樹ちゃんはかなり苦労してきた。

幸世は親はいるけど、反抗期を経て成長できてない。

夏樹ちゃんは承認行為を実は強く人間に求めている。

他の人以上に夏樹ちゃんは他人からの承認を求めてしまうわけです。

承認っていうのは自己への理解であったり認識であるわけやけど、夏樹ちゃんは恋愛において「承認」というのが原動力になってしまってるんですね。つまりは、

承認されたい→行動する→ダメになる→承認されたい

の繰り返しに陥ってるんですよ。

夏樹ちゃんは酔うと誰彼かまわずそういう行為をしてしまうんですが、お酒が入ると本性が出てしまうわけです。

ほんとは「承認されたい」けども、フラフラしてるのもダメ。だいたい、漫画のセリフであったように男はカテゴライズしようとするし、「こういう女」みたいなクソみたいなレッテルを貼ろうとする。

つまり、本当に自分を理解してくれる人がいないわけです。

漫画のセリフで「''本当の私''を理解したなんて思い込みだか思い上がりが嫌なの」のセリフの裏にはそういう意図があると思いますね。

そして、いつまでも他人に承認されない、理解されないが故にアルコール入ると、承認の代償行為である性行為をしてしまうわけです。

でも、それは結局さっき述べた

承認されたい→行動する→ダメになる→承認されたい

ていう悪循環になってしまうんですよ。

夏樹ちゃんのキャラクターは型にハマらない感じでして、何面もあるんですね。でも、人間ってそうじゃないですか。誰かが個人に「ああいうヤツ」とレッテル貼りしても実際にはそれ以外の部分が何面もある。

どこまでも人間らしいのが夏樹ちゃんなんですよ

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夏樹ちゃんは両親がいなくて、ぽっかり心に穴が空いてしまったけど、やからこそこれまでしっかり自分の足で立ってきたわけです。

自由奔放に見えるけれども、しっかり自分の城のクイーンであり続けてきた。

出会う男は''本当の私''を理解したなんて安易に言うて型に収めようとする。

本当の意味での承認を求めているのに、そういう意味で手を差し伸べてくれる異性は現れないわけですね。だいたい、ええ感じになっても承認の代償行為である性行為をしてダメになっちゃう。

そこへ事故的に出会えたのが幸世やったわけです。幸世にしても事故やし、夏樹ちゃんにしても2人の出会いは突然交わらないものが交わった瞬間やったわけです。

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出会ったとき、赤い傘をほって2人で走り出すわけですよ。

ああ、あ、泣きそう

その日、幸世が夏樹ちゃんに自分のブログ紹介するあたりも最高ですね、今やったらツイッターのアカウントでも教えるんでしょうか。

いや、まあそんなことはよろしい。

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幸世に出会って、夏樹ちゃんは映画『卒業』でいうダスティンホフマンばりの、結婚式乱入して引っ張るみたいなそういう部分を幸世に求めたんじゃないかなって思います。

「君と最悪な人生を消したい」、まさにそのような心境じゃないですかね。

なんかこの人ならほんとにわかってくれそう、承認してくれそうやと、まあでも幸世は幸世でフラつくし思ったようにいかない。

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最終回で夏樹ちゃんが「ずっと思ってたんだけど、」と幸世になにかを言おうとするけど、声はかき消されて幸世に届かない。

出会うはずのなかった2人はここで2人の意図に反して再び事故的に離れてしまうわけですね。

幸世に夏樹ちゃんの真意は届かなかった。

ぼくはあれは夏樹ちゃんが何を伝えたかというと、

「この人やと思った、だけどそれぞれ違う人の方が幸せになれると思う」てきなことやと思います。

人の承認や認識、それはなんとなくなだけで本当の理解なんてできない、本当の理解を求めるけど夏樹ちゃんはそれはできないってのが幸世によってわかったんじゃないかと思います。

ある人に対する認識っていうのはその人がどんな人なのか、いわゆる''情報''の部分と同時にそれとは別の''真実''の面があるわけです。

真の部分なんて理解できないし、自分でもほんとはわからない、夏樹ちゃんはそれを自覚したんじゃないでしょうか。

哲学的な話になりますが、自覚の''自''は自分だけじゃなく他人の中に自分を写す、他人による承認と自分が他人に行う承認、つまりは相互承認によって自分を成長させたような意味です。

夏樹ちゃんは幸世との相互承認によって自分を理解でき、他人を知り、自覚し、成長したんですよ。

それで幸世とはそれまでの段階では本当は運命の存在やったけど、次の段階があるとわかったんですね。

映画『卒業』でいうと、結婚式に乱入してきた自分を愛してくれる男に引っ張られて走り出したものの、「あ、これって幸せなの?」とわかる。さらにその先も日常はあるわけですよ。

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そしてまた夏樹ちゃんは人生の曲がり角を曲がり再び自分の足で立ち、歩み出すわけです。

夏樹ちゃんの幸世からの卒業やったんですね、あれは。

とにかく小宮山夏樹は人間ってのは理解できないし一面しかない個性なんてのはない、簡単にカテゴライズなんてできないってのを体現してるわけですよ。

 

はい、てことでモテキ全体の話しようと思ったのになんだか小宮山夏樹の話ばかりになってしまいましたね。このへんで終わりたいと思います。また書く気が起きたらモテキ全体の話か、各キャラに絞った話ししよ〜〜〜

 

おわり

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